アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎が増えている理由
現代では、中国でもアトピー性皮膚炎の方が増えています。その理由は云わずと知れた高度成長に伴う環境の変化です。 エアコンによる安定した温度・湿度の中での生活=人間にとって過ごしやすい部屋の温度・湿度は、ダニや害虫にとっても過ごしやすいという事です。また、高脂肪・高コレステロール・甘いもの・冷たい飲食・添加物・過度なストレスは内臓に負担をかけます。
中医学では【皮ふは内臓の鏡】と考えるため、難治といわれる皮膚疾患を含め、あらゆる皮膚疾患に体の内側からプラス外側から対応し、根治を目指します。
急性期と緩解期
赤みやジュクジュクゴワゴワといった湿疹の特徴や年齢的な特徴があり、 かつアトピー素因をもった方が【アトピー性皮膚炎】と判断されます。
【アトピー素因とは?】
1. 家族歴・既往歴 (気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちのいずれ、あるいは複数の疾患)
2. IgE抗体を産生し易い素因
(参考:日本皮膚科学会)
アトピー性皮膚炎は、症状の強くでている急性期と比較的穏やかな緩解期を繰り返しながら変化していきます。湿疹がでやすい部位は、額・目や口や耳のまわり・唇・頚部・手足の関節の内側・体幹(胴体)となっており、左右対称なのが特徴です。例えば右腕の関節の内側と左腕の関節の内側の両方に同じような湿疹がある、といった風にです。
急性期で一番多いタイプがジュクジュク紅いブツブツやただれの「湿熱型」です。その名のとおり湿と熱、特に血熱が関係している場合が多く、特徴としては口の渇き、便秘、舌が赤い、舌の苔が黄色く厚いなどです。
この場合、清熱、利湿、解毒がキーポイントになります。瀉火利湿顆粒をメインに、涼血清営顆粒・黄連解毒湯・五行草・板藍根などで対応していきます。
頭部、顔面のただれ、赤み、ぶつぶつ、水ぶくれ、食欲なし、下痢気味、痩せ型、舌は薄い紅といった特徴の「脾虚湿盛型」の場合は、健脾利湿止痒(消化器を丈夫にして、体の余計な水分を排泄し、痒みをとめる)という方法で対応します。
参苓白朮散・香砂六君子湯、お腹が冷えて痛いなどは黄耆健中湯をメインに晶三仙・瀉火利湿顆粒・五行草などで調整していきます。
広範囲が紅くゴワゴワして、カサカサした皮膚の剥げたものが付着し、掻き傷などがあり、イライラ、緊張、不安不眠といった特徴のある「肝鬱血熱型」の場合、清熱疎肝、涼血止痒(気持ちをリラックスさせ、からだ、血液の熱をさまし、痒みをとめる)といった方法で対応します。
加味逍遥散・涼血清営顆粒をメインに、白花蛇舌草、瀉火利湿顆粒などで調整していきます。
アトピー性皮膚炎で、気をつけなければいけないことは
【自己判断は危険】ことと
【じっくりしっかり根元から治すことが重要】ということです。
まず、難治といわれるひとつの理由に「症状が変化していく」ことが挙げられます。つまり「今どのような状況か」判断が非常に難しいということです。自己判断せず、必ず専門スタッフに相談してください(当店はご相談いつでも無料です、お気軽にご来店ください)。
また、時間をかけてゆっくりと侵食していった病因に関しては治すのにも時間がかかるのが常です。
アトピー性皮膚炎は、一度良くなっても、再び悪化する可能性の高い疾患です。統計では夏季に悪化するものが20%、冬期に悪化するものが80%、これはアトピー性皮膚炎の方のお肌の敏感性が高い為であるといわれています。急性的な発作がおさまったからといって安心せず、じっくりしっかり根元から治してしまいましょう。
皮膚疾患に関しては特に、当店50%・お客様50%の努力が必要となります。
アトピー性皮膚炎の養生法
体を冷やさない
冷暖房の効きすぎた場所には長時間いないほうが良いですが、仕事など仕方のない場合にはカーディガンやひざかけなどで保温しましょう。また、ミニスカートなど露出の多い服装、薄着は避け、体を冷やさないようにしましょう。首と足元が温めるポイントです。
衣服の素材に気を配る
衣類の素材は綿がベターですが、洗剤は少なめに使用し、洗剤残りがないように注意を配りましょう。
こまめに換気しましょう
窓を閉め切って、冷暖房まかせというのがよくありません。ダニやカビは乾燥と低温を嫌います。ほどよくすきま風が入るくらいが丁度いいくらいなので、密閉度の高いマンションでは特に窓を開けて、換気をよくし、自然の湿気を適度にとりいれ、ダニやカビの発生をおさえましょう。冬季は暖房の乾燥にも気をつけましょう。
洗いすぎに注意しましょう
おフロに入る目的はその日のホコリと汗を払うことです。 石鹸をつけてナイロン製のタオルでごしごしこすると出てくるのは垢ではなく、実は皮膚の角質細胞です。皮膚の角質細胞は約2週間で生まれ変わりますので、ごしごししなくてもお湯を浴びるだけでキレイになるのです。毎日ごしごしすることは再生しきっていない角質細胞を無理やりこそぎ落としていることとイコールなのです。
また、長時間の入浴は皮脂膜をも落としてしまう事になります。アトピー性皮ふ炎の方へは特に、無添加の保湿入浴剤を入れた38度くらいのお湯に10分以内の入浴をオススメします。
1週間に一度、無添加低刺激性の石鹸を使用してやさしくさすって洗い流す程度で、シャンプーもリンスも無添加で低刺激性のものを使用しましょう。
冷たい飲食・生ものは避けましょう
冷たいジュース、冷たい麦茶、ソフトクリームなど、冷たい飲食は胃腸に負担をかけ、体を内側から冷やすだけでなく、体内に湿もためてしまいます。生ものも同じです。アトピー性皮ふ炎の方は、野菜も加熱して温かくしてから、よく噛んでゆっくりと食べましょう。
辛いもの・甘いものを控えましょう
辛いもの(カレー、キムチなど)、甘いもの(ケーキ、チョコレートなど)もアトピー性皮膚炎のもととなる湿熱を生じます。
ストレスを上手に発散しましょう
現在は、大人だけでなく、子供もストレス社会といわれています。よく”病は気から”と申しますが、中医学では古来より、気=精神=心という部分を重要視してきました。中医学のいう「心」は心臓ではなく、精神のココロのことです。精神=気持ちが安定すると、アトピー性皮ふ炎の悪循環を断ち切ることが出来ます。
お友達とお茶する、映画を観る、お買い物をする、ゴルフをする、野球をする・・・そういったストレス発散と平行して、心と肝を養う漢方を利用するといった方法もあります。