認知症タイプ別対策
認知症を正しく理解して予防しましょう
2025年には認知症のひとは700万人、その数は65歳以上の5人に一人といわれています。2019年の厚生労働省の調査では、要介護になる理由の第一位が認知症となりました。
認知症のタイプ別おもな症状
アルツハイマー型認知症
認知症のなかで最も多く、全体のおよそ60%がアルツハイマー型認知症です。記憶を司る「海馬」という部分を中心に委縮し、さまざまな認知機能の低下が起こります。
- 記憶があいまいになる
- 何度も同じことを言う
- 物忘れがひどくなる
など
血管性認知症
脳梗塞や脳出血などで脳の神経細胞がダメージを受け、認知機能の低下や運動機能の障害などが起こるタイプです。
- 認知機能の低下
- 歩行が不安定
- ろれつが回らない
- むせる
など
レビー小体型認知症
「レビー小体」という物質が脳の広い範囲にたまり、認知機能の低下や幻視などの症状が起こります。症状が強く現れておらず、自主的に活動できるとき(オン)と、そうでないとき(オフ)の波があります。
- 認知機能が変動する
- 幻視
- ひどい寝ぼけ
- 筋肉がこわばる
- 手足がふるえる
など
前頭側頭型認知症
理性的な行動や、人間らしさを司る「前頭葉」や「側頭葉」が委縮します。人に配慮することが難しくなったり、社会のルールを守れなくなることがあります。
- 同じ行動を繰り返してしまう
- 万引きや店の商品を食べてしまったりするなどの問題行動が現れる
など
大切なのは早期発見と早期の対応です
認知症は、基本的には進行していく病気です。
ですので発症しないように予防することが大切です。
認知症を発症する一歩手前の段階を、軽度認知障害(MCI)といいます。健康な状態と認知症の間にこの軽度認知障害の状態があり、この段階では認知機能が正常な状態に回復することもあります。
認知症を会話から発見する
- 同じ会話を繰り返す
- 「あれ」「これ」「それ」などの指示語が増える
- 時間や場所の感覚があいまいになる
- 話の内容が飛ぶ
家族の認知症を早期発見するためにも、普段から会話を心がけることが大切です。会話のなかで違和感がある時は早めに医療機関に相談しましょう。
認知症を歩き方から発見する
- 歩幅がバラバラ
- ふらつく、不安定
- 歩く速度が遅い
- 歩幅が狭い
※特徴の現れかたには個人差があります。
他の病気が関係している場合もありますので注意してください。
認知症は予防できる?
活動量を増やし、脳を刺激することが大切です。
「脳の血流を良くしておく」ことは、どのタイプの認知症予防にもおすすめです。
また、異常たんぱく(アミノイドβなど)が脳にたまることで炎症が起こり、それが認知症につながるともいわれます。血流を良くして「脳のゴミ掃除」をしていきましょう。
ウォーキングなどの有酸素運動は、体に酸素を取り入れながら行うもので、脳への血流が良くなり、認知症予防にはもってこいです。MCI(軽度認知症)の段階で有酸素運動を行うと、40%の人が回復に向かうという報告もあります。ウォーキングは週に3回程度、30分ほど行うことをおすすめします。
脳を刺激するために、運動しながら頭も同時に使う「ながら運動」もおすすめです。(しりとりをしながら歩く、など)
日常生活に工夫を取り入れ、家族や仲間と楽しみながら認知症予防を続けていくことが大切ですね。