眩暈(めまい)と中医学

現代医学では眩暈に関係する疾患は貧血・高血圧・脳血管障害・メニエール・眼疾患など広範囲に渡り、原因不明のまま対処療法を行うことも少なくありません。中医学(中国漢方)での考えかたは単純です。これらの疾患名は考えません。

まず眩暈といえば脳への栄養が不足していると考えます。脳へ栄養を運ぶものは血液だから血液が不足する原因を考えていきます。

最初から血液不足のひとは血液を増やす当帰・阿膠などが含まれている婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)をオススメします。婦宝当帰膠は手足の冷えや肌の乾燥なども一緒に解決してくれます。よく経験しますが、風邪が長引いて2,3日寝込んだ時なども軽い眩暈があります。消化器の働きが健全でないと食べたものの吸収が悪いのでやはり血液の産生がおちる為です。

普段から疲れやすく、食欲の少ない人は補中益気丸(ほちゅうえっきがん)で消化器を丈夫にする事が大事です。このタイプの人で不眠や不正性器出血などがある女性は帰脾錠(きひじょう)がオススメです。

水分の代謝が悪い人は、「痰」が血液の運行を阻害するので「痰」を取り除く半夏百朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)などです。大便へ1日何回もいき、便が軟らかめで、曇った日など特に調子が悪いタイプです。

血液の粘度が高く流れがスムーズでない場合の眩暈も考えられます。固定した場所に頭痛があったり、顔色が黒ずんでいたり、舌にシミがあったりする場合では冠元顆粒(かんげんかりゅう)や血府逐お丸(けっぷちくおがん)などが適切です。

また、中医学では「腎」-「脊髄」-「脳」、との繋がりを考えています。よく言われる「腎虚」の眩暈もあり、耳鳴り、眼精疲労、などがある場合は杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)がよく使われています。高血圧の場合には天麻釣藤飲(てんまこうとういん)となります。

はっきりとした原因がわからず病院で長年治療していて効果が思わしくない人は一度試してみてはいかがでしょうか。

めまいと中医学

 

代表的なタイプを紹介します。

めまいと中医学  肝陽上亢(かんようじょうこう)
交感神経亢進、熱過剰型の人、怒りやすく、血圧が高い人が多い。精神を落ち着ける、陰分(体液)がたりないため、内熱を生じ、頭部に内風が起こり、めまいを発症します。
【代表的な漢方薬】
天麻鈎藤飲・杞菊地黄丸

 

めまいと中医学  気血虧虚(きけつききょ)
気血の不足により脳を栄養することができない。普段から疲れやすく、動悸や不眠などもある。食事でとった栄養をエネルギーにできない人が多い。
【代表的な漢方薬】
帰脾湯

 

めまいと中医学  腎精不足(じんせいふそく)
腎→脊髄→脳というつながりにより腎精の不足によって脳髄を満たすことができない。普段から下半身に疲れがあり腰痛や膝の違和感がある。労働が激しい人、長い間、病気を患った人など。
【代表的な漢方薬】
左帰丸を中心とする補腎薬

 

めまいと中医学  痰濁中阻(たんだくちゅうそ)
普段からお酒や味の濃いもの、脂肪などをよく取り肥満タイプの人、血中に痰濁(コレステロール、中性脂肪など)がたまり、生活習慣病などが気になる人。痰濁が気血の流れを阻害し脳に栄養を送ることが出来ない。
【代表的な漢方薬】
半夏白朮天麻湯・温胆湯

 

※漢方薬は医薬品です。
証にあわないものは良くならないばかりか悪化する可能性があります。服用の際は漢方の専門スタッフに必ずご相談ください。

 

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