頭痛・腰痛・関節痛
痛みに対する考え方は、現代医学と中医学(中国漢方)では違います。
現代医学では、痛みの原因となる物質を抑えたり、炎症を抑えて痛みの感覚を麻痺させる薬を処方する事が多く、安静にして体を休めることが基本的な考え方です。
中医学では、痛みそのものではなく、痛みを引き起こす原因に対処していきます。原因は大きく2つに分けられます。
ひとつは、体のなかを流れる気(エネルギー)や血がスムーズに流れていない場合、もうひとつは、気や血が不足している場合です。

気血の流れが滞ってしまったり、不足する理由は様々です。
急性の痛みは、風・湿・暑・燥・寒・熱などの外的要因にうまく対応できていない場合が多く、
慢性の痛みは、臓腑の障害・ストレスや生活習慣による内的要因による場合が多いです。
例えば冷えると激しく痛み、温めると楽になる痛みは、「寒邪(かんじゃ)」によるもの、と考え、体を温める食べ物や漢方薬、生活養生で対応していきます。
張ったような痛みで、イライラすると強くなる痛みは「気滞(きたい=気のめぐりが悪い)」と考え、肝の気を循環させる食べ物や漢方薬、ストレスを上手に解消するといった方法で対処します。
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頭痛で悩んでいる人はたくさんいます。 |
代表的なタイプ |
特徴 |
代表的な漢方薬 |
肝の異常 |
ふだんからイライラする。怒りやすい。女性の場合、生理前に胸が張って痛くなり、月経失調がある。頭が熱い。目が充血する。便秘。めまい。耳鳴り。物忘れをする。眠りが浅い。夢が多い。 |
逍遥丸、加味逍遥散、竜胆瀉肝湯、杞菊地黄丸、天麻鈎藤飲など。 |
気の不足 |
消化器系が弱い。疲労すると痛みが強くなる。食欲不振。息切れしやすい。顔色が白い。 |
補中益気丸、香砂六君子湯など。 |
血の不足 |
動悸。目のかすみ。ふらつく。だるい。顔色が白くツヤがない。午後になると痛みが強くなる。女性の場合、生理後に痛みが強くなる。 |
婦宝当帰膠など。 |
血の巡りが悪い |
痛む場所が決まっている。長時間痛む。針で刺すような痛み。女性の場合、生理前に痛むことが多い。肩こり。 |
冠元顆粒など。 |
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寒い季節がやってくると、慢性的な痛みを持った人には、つらい憂鬱な時期となります。 |
局部関節の屈伸がうまく出来ず、痺れて感覚が鈍い、寒がり、温暖を好む。腰や膝の痛みの他に動悸、息切れなどもある、休んで楽にしていると痛みも和らぎ、入浴中なども症状が軽くなるなどの条件によって異なってくるのは、中医学でいう気、血が不足して抵抗力、免疫力(正気)が弱り、「風」「寒」「湿」の邪が体に侵入して、気血の流れを阻害するために痛みが生じていると考えます。 |
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中高年の方の膝の痛みで最も多いのが「変形性膝関節症」で、膝の関節の軟骨がすり減ったために痛むものです。 |
日常生活では、「肥満の人は体重を減らす」「関節に無理をかけない」「関節を冷やさない」事が重要です。膝に水が溜まった時は利水・利湿作用のある漢方薬で水を出し、炎症の熱を下げ腫れをとる漢方薬で痛みを和らげ、関節と関係の深い腎の働きを補う漢方薬で、根本から対処していきます。 |