血のはたらき
血液は、食べ物から得られた栄養素や酸素、二酸化炭素、赤血球や白血球、またホルモンや免疫物質などを体内に巡らせ、平均約60兆個もの細胞へ送り届けたり、老廃物を排出したりという重要な役割を担っています。
他にも体温調節、細菌などの病原体の除去、止血といった体を守る仕事もこなしています。
体がイキイキと健康で働くためには、血液の流れがスムーズであることは絶対的な条件です。
その為、医薬品に限らず健康食品などでも血液の流れを良くするというキャッチフレーズで多くの商品が宣伝されています。
ところがそう単純でないのが人間の体です。
中医学では、血液の流れをよくする漢方薬を「活血剤」といいますが、単純に誰でもこれらの漢方薬を使用すればよいわけではありません。どのような条件によって血液の流れが悪いのか、で対応方法も利用する漢方薬も異なります。
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日本人に多い1つ目は、元気不足の「気虚」タイプです。 心臓の元気がなく血液を体の隅々へ送り届けることができていない状態です。 元気不足の気虚タイプの方に、血流だけを考えて「活血薬」を使用すると「気」がさらに消耗して体の倦怠感などがより強くなり、心臓にも負担をかけます。「気」を補う漢方薬をメインにして考えることが重要になってきます。 |
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2つ目は、ストレスが多く気持ちが滞っている状態の「気滞」タイプです。気の流れが滞ると血も滞ります。 症状としては肩こりや生理痛といったにぶい痛みなどですが、ここでも「活血剤」だけを使用すると、痛みは悪化します。 まず気の流れを良くしてから血液の流れを良くする必要があります。 |
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3つ目に、必要な水分が不足している「陰虚」タイプです。 体が熱っぽく、のどが渇きやすい、コロコロ便、体全体が乾燥気味の状態の場合は、水が蒸発しカラカラに渇いた水路の状態です。当然、本来流れるべきものも流れられません。 この場合「滋陰」といって体に必要な潤いを補うことで、体液を増し、血液の流れをさらさらとスムーズにしてあげます。 |
他に、血管の中のコレステロールや中性脂肪の多い方は、中医学では余計な水分の凝縮したもの(痰濁)が、コレステロールなどの脂肪と考えているため「痰(きょたん)剤」が必要なケースもあります。
自己診断など、誤った判断や誤った使用は、症状を悪化させる原因になることもあるということです。
漢方薬や医薬品、健康食品も、是非一度、専門家によく相談したうえでご利用ください。